水溶性焼入剤
熱処理によって、鋼の性質は一変します。加熱し、焼入れる事で、鋼の原子配列が変わるからです。鉛筆の芯も、ダイヤモンドも同じ炭素で出来ていますが、見た目は全く違います。理由は、前者の原子配列がバラバラなのに対して、後者は地球の地殻変動による高温、圧縮により偶然に原子配列が規則性を持ち、ダイヤモンドという物質を形成したものと思われています。この一例からも判りますように、ある温度の加熱、ある温度の冷却を選択する事で、様々な組織が得る事の出来る規則性が先人の研究で明かになっています。
金属熱処理はいわば「現在の錬金術」なのです。加熱された金属を冷却する媒体は、水、油、空気冷却、近年では水溶性焼入れ剤、ガス冷却等がありますが、ここでは、「水溶性焼入剤」を御紹介します。
表面処理剤 製品ラインアップ
水溶性焼入剤
一部代表例を記載しております。水溶性のため引火点を持ちません。水の濃度調整で任意の焼入れ性を調整する事が出来ます。
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パルクェンチ60(主成分ポリビニールピロドリン)
S50CやSCM440程度の焼割れの少ない鋼種に適する。
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パルクェンチ90(同上)
焼入れ性の良い高炭素鋼や合金鋼に使用します。
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パーカークェンチ525(ポリアルキレングリコール)
高周波焼入れから、ピット炉焼入れ迄、広範囲な冷却剤です。
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サービスコール98F(同上)
ドイツの厳しい環境規制をもクリアした焼入剤です。焼入性の悪い鋼種に対しても有効です。